特許を持っているからといって、特許侵害にならないとは限りません。
お客様との相談の際に、「私は特許を取得したのに、相手が私を侵害者だと主張しているので、その主張は不当だ」と言われることがあります。さらに、特許訴訟でもこの論理を主張する人がいて、裁判官を困惑させることがあります。
しかし、特許の本質を考慮すれば、このような主張が交渉や訴訟で認められないことが分かります。
まず、特許は独占権の性質を持っています。この独占の意味は、発明が特許として登録されると、他者がその特許発明を使用できなくなることを意味しますが、特許を取得したからといって特許権者が自由にその発明を使用できるわけではありません。
したがって、「この発明に関して特許を取得したので、特許侵害は発生しない」という主張は、どこでも受け入れられません。
また、特許は禁止権の性質も持っています。つまり、特許権者は、自分の特許発明を他者が実施できないようにすることができます。この特許の機能によって、競争相手が同じ製品を製造できなくなり、特許権者が競争で有利な立場を確保することができます。
一方、特許を取得せずに製品を開発・生産・販売すると、わずか数か月で競争企業がコピー製品を作るのを目にすることになります。特許は、このようなコピー行為を競争相手が行えないようにする役割を果たします。
さらに、特許は使用権ではありません。したがって、特許を持っているからといって特許侵害が発生しないとは限りません。つまり、自分の特許発明を実施していたとしても、別の特許権者から侵害の主張を受ける可能性があります。
そのため、侵害の問題は、自分が特許を取得した事実とは別に検討する必要があります。
以上、特許権の保有が**非侵害主張(侵害していないという主張)**とは無関係であることを説明しました。特許権の性質についての説明が、特許に関する理解の一助になれば幸いです。

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